企業法務コラム

訪問購入禁止へ。貴金属の強引な買取を受け規制広く

平成24年8月22日「特定商取引法の一部を改正する法律」が公布され、2月21日から施行される。改正の主眼は訪問購入の禁止。
これまでの特定商取引法の6類型(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引)に7番目の取引類型として新たに「訪問購入」を追加し、不招請勧誘を禁止したのが最大の特徴だ。

(評)
非常に厳しい法律改正だ。一部の貴金属の買取業者が、訪問先で強引ともいえるやり方で貴金属を買い取ることがあり、法規制が行われることとなったものである。
当初の経産省案では訪問取引した際に「勧誘前に購入の意図を伝えなければならない」「勧誘を受ける意思があるかどうか確認しなければならない」
「一度でも断られたらそれ以上勧誘してはいけない」といった程度の規制であった。
しかし、国会に提出すると「規制が緩すぎる」との反対論が出て、結局「勧誘を受ける意思を確認してはならない」という規制に変わってしまったのである。
現在不招請勧誘が禁止されているのは、金商法上の個人相手の通貨関連デリバティブ取引だけに限られている。今回の特商法改正でも、訪問販売、連鎖販売取引はそのまま不招請勧誘は禁止されなかったから、訪問取引だけが狙い撃ちされた形だ。訪問購入の規制対象は貴金属買い取りに限られない。そのため、バイクの査定のために訪問し、その場で買い取りの勧誘も禁止される。
しかし行政も混乱している。国民生活センターの相談員もまだ正確な知識を有していない。それどころか、秋田県のHPを見たら、改正法の概要について、業者は、勧誘を要請しない者に対する勧誘意思を確認してはならず、勧誘を受ける意思の確認が義務づけられる、などと全く正反対の内容が書かれている。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年02月25日
法律事務所ホームワン