企業法務コラム

大企業の交際費、損金算入を検討 交際費は世情を反映

麻生財務相は2月18日の予算委員会で、大企業の交際費について法人税がかからない損金への算入を検討する考えを示した。

※引用
2012年2月19日 日本経済新聞 朝刊
「財務相、交際費損金算入「大企業も検討」」

(評)
法人が支出した交際費は、原則、損金不算入とされている(経費と認められない)。
朝鮮戦争がおこると、金ヘン景気、糸ヘン景気で、企業幹部が飲食に浮かれ、社用族として、世間の顰蹙を買った。戦後復興までまだ遠いのに、一部の人間がそうした贅沢に浮かれるのはけしからんという訳である。そうした世情を反映して、2年間の時限立法=租税特別措置として交際費の損金不算入が認められた。ただ、こうした増税につながる仕組みは、財務省が容易に廃止しない。そのため時限立法が、どんどん延長されて今に至っている。
ただ、中小企業(資本金1億円以下)は、年600万円までなら、交際費支出の90%相当額について損金算入が認められている。景気回復の目的で、13年税制大綱で、中小企業においては交際費が、年800万円まで、全額の損金算入が認められることとなった。
上記は、大企業にもその恩恵を広げようというものである。
景気が悪くなると真っ先に削られるのが、広告費、交通費、交際費の3K費。とくに交際費は原則損金不算入のため、風当たりが強い。そのため、失われた20年で、ネオン街は厳冬を通り越し、氷河時期を余儀なくされている。
しかし、近年交際費が削られているのは、景気が悪いからだけではない。トップ外交はともかく、大企業を中心に、人間関係で仕事をとるスタイルが時代遅れになっていることも大きな理由だ。コンプライアンス上もよく思われないこともある。税金、景気だけの問題でもなかろう。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年02月20日
法律事務所ホームワン