企業法務コラム

公示地価調査、8年ぶり見直し。市場の変化に応じた抜本的見直し必要

国交省は14年に地価の公示価格の調査地点を約8年ぶりに大幅に見直す方針だ。現在調査地点は2万6千件ほどあるが、取引の活発なエリアでは調査地点を増やし、取引が少ないエリアは調査地点を外す等し、2割程度を削除したり、入れ替えたりする。商業地を「オフィス街」「飲食街」に、住宅地を「マンション地域」「戸建て地域」などに分類し、利用者の便を図ることも行う。また1地点を2人の不動産鑑定士で評価していたのを、1人に減らす。

※参考
2013年1月8日 日本経済新聞 夕刊
「公示地価調査、8年ぶり見直し 国交省方針 取引多い地域に重点」

(評)
地価公示法2条の「都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域」という公示地選定基準からすれば、時代が変わり、市場が変われば、それに応じて調査地点の抜本的な見直すのは当然だろう。
地価公示分科会には、外部の第三者が加わっておらず、運営も鑑定士や鑑定協会が内々で行っている感がある。調査地点の抜本的入れ替えが行われなかったのも、各地域の鑑定士の既得権化していることが大きな原因の一つだ。そこに手を入れようというのだから、鑑定協会の反発も相当なものだろう。この方針の実現には国交省の力技が必要だ。
1地点を担当する不動産鑑定士を2人から1人にするというのも、こうした批判的見方が背景にあるのだろうが、この点は法律改正が必要になるため、国会対策と言う政治的ハードルがある。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年01月11日
法律事務所ホームワン