企業法務コラム

最高裁、高齢者雇用をめぐり判決。雇用継続に期待「合理的な理由」あり

高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度を巡り、再雇用を拒否したのは違法として地位確認などを求めた裁判で、最高裁第1小法廷は11月29日、2審で敗訴した会社側の上告を棄却した。
会社は高年齢者継続雇用規程を定め、従業員に周知させていた。
本件規程の概要は,
1)高齢者の在職中の業務実態及び業務能力を点数化し,総点数が0点以上の高年齢者を採用する、
2)10点以上のものは週40時間、それ未満の者は週30時間の嘱託社員として、1年間雇用するというものだった。この労働者は総点数が1点だったため、継続雇用となったが、2年目の更新が認められなかった。
従業員が継続雇用基準を満たしている以上、嘱託雇用契約の終了後も雇用が継続されるものと期待することには合理的な理由があると認められるとして(いわゆる雇い止めの法理)、会社の上告を棄却した。

※参考
裁判所ホームページ
平成24年11月29日 最高裁第一小法廷判決
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20121129150057.pdf

(評)
判決は、高年齢者雇用安定法の制度趣旨にも沿い、日立メディコ事件の延長線上にもあり、妥当だろう。
同法は06年の改正施行で、65歳までの雇用確保を企業に義務付けたが、労使協定を結べば再雇用する対象を選ぶ基準を設けることができることになっている。
しかし今年9月の改正でこのような選別雇用を段階的に廃止されることになったので注意されたい。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2012年12月07日
法律事務所ホームワン