企業法務コラム

公取委、竹島委員長退任。下請け法違反対策に熱

竹島一彦公正取引委員会委員長が9月26日退任となった。
竹島氏は在任中、独禁法改正(2006年施行)を実現。違反行為への課徴金引き上げと、カルテルや入札談合を自主報告した企業に対する課徴金減免制度や、公取委が刑事告発を積極的に行うための強制調査権限の導入を実現した。
退任に当たっての記者会見で、「市場の番犬」に例えられる公取委を「ほえる番犬」にすることを目指したと語った。また、「大企業が関与するカルテルや談合の摘発も普通になった」と評価。ただ、摘発を重ねても下請けいじめなどの優越的地位の乱用行為が絶えない現状には、「残念。公取委が本気であることを甘く見ているのではないか」と苦言も呈した。

※参考
2012年9月26日 時事ドットコム
公取委を「ほえる番犬」に=竹島委員長が退任会見
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012092601038

(評)
公取委は、近年下請法違反対策に熱を入れている。
下請法の正式名称は下請代金支払遅延等防止法。下請け業者への支払は納品日より60日以内(但し手形の場合は特則あり)、瑕疵ある商品の返品は6カ月以内と定まっている。また不当な受領拒否、買い叩き、代金減額、報復措置、購入強制、原料提供費の代金前決済、不当なやり直し請求を禁止している。なお下請法違反摘発例は代金減額で殆どを占めている。発注ソフトの新規導入を機に負担金を求めたりといった場合も、代金減額に該当するので注意が必要だ。
下請法の詳細はhttp://www.jftc.go.jp/sitauke/sitaukepamph1111.pdf

年1回、この時期に、公取委が下請け業者を何万社か無作為抽出し、親事業者から下請けいじめに遭っていないかアンケート調査を行うことになっている。
詳細はhttp://www.jftc.go.jp/sitauke/sita23.pdf

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2012年10月01日
法律事務所ホームワン