企業法務コラム

日航、再上場。異例のスピード再建

日本航空が9月19日に東証一部に再上場した。2010年に会社更生法の適用を申請し、再上場まで2年8カ月という異例のスピード再建となった。

(評)
日航再建成功の一番の理由は、京セラ創業者の稲盛和夫氏の強いリーダーシップだろう。稲盛氏は、会議で出された弁当の値段を傍らの社長に問うたが、即答を得られず、社長を一喝したという。コスト削減は小さな無駄の削減の積み重ねである。
給料を大幅に減らされる者も出る。首を切られるものも出るだろう。社員に多くの犠牲を強いるときに、自分たちトップの人間が高価な弁当を会社の金で食っていて良いのか。そうした疑問が、稲盛氏を一喝させたのであろう。かつて臨調で名をはせた土光氏は、経団連会長就任後、それまで会長出張の慣例だった2泊3日の日程を全て日帰り出張に変更、地方側からの接待を一切断った。エレベーターも来客用の1基だけを稼動させ残りは停止。高齢ながらも自ら階段を利用して経費削減に努めた、という。
さらに社員も変わったということだろう。周りの社員で辞めさせられた者がいる、OBにも年金の減額を認めさせた。その中で自分たちの今までの仕事ぶりを一から見直した。それが再生の大きな原動力となった。
日航再建には、いろいろなヒントが詰まっている。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2012年09月25日
法律事務所ホームワン