企業法務コラム

中小年金資産、連合会で共同運用 厚労省方針

厚生労働省は12日、AIJ投資顧問の年金資産消失問題を受け、中小の厚生年金基金の資産を企業年金連合会に委託し、共同運用する方針を固めた。専門家がいない中小基金のずさんな運用をなくし、再発防止を図る狙いだ。16日の有識者会議で示す。

企業年金連合会は企業年金の中途脱退者や解散した基金の年金資産を引き継いで運用、支給している。厚労省は連合会が基金の年金資産を受託できるようにするため、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出することを検討する。

厚労省が実施した調査では、厚年基金のうち9割が資産運用経験のない担当者しか置いていなかったことが判明している。AIJの運用実績が専門家の間で疑問視されていたにもかかわらず、基金の多くが改ざんの事実を把握できなかった。

こうした状況を改善するため、企業年金連合会との共同運用により、運用リスクの高い商品への集中投資を防ぎ、虚偽の運用を見抜けるようにする。運用の委託については、基金側が希望した場合に限る方向で調整を進めている。

また、運用リスクを軽減する分散投資を促すため、集中投資できる年金資産に上限を設けるほか、厚労相への運用方針の届け出、運用機関別の委託額や割合について基金加入者への開示も義務付ける。

積み立て不足に陥っている基金への対応については引き続き検討することとし、結論を先送りした。

※引用
5月13日 中国新聞
「中小年金資金 連合会で共同運用」

2012年05月30日
法律事務所ホームワン