企業法務コラム

あれから17年。多重債務の女性_「助けて」一言が言えない

7日で発生から17年を迎える阪神大震災では、家や仕事を失った人たちが、消費者金融などから借金を重ね、多重債務に陥るケースが相次いだ。
震災後に福山市に移住した女性(58)もかつて、借金を重ね、苦しんだ一人だ。17年前のあの日、家族3人は、兵庫県尼崎市の自宅で被災した。木造2階建ての住宅は全壊し、家財道具も持ち出せなかった。夫の勤務先の計らいで、次男を残し、夫婦で福山市に移り住んだ。持病もあり足りない生活費を消費者金融から借りた。最初はほんの5万円程度。それが次第にふくれあがった。持っていた貴金属を売り、アルバイトをしても間に合わなかった。ヤミ金に手を出した。夫にも、誰にも相談できなかった。 「頭がまひしていた。自分で何とかしなければと、それしか考えられなかった」。2003年、借金は約10業者、計約350万円になっていた。ある業者に「返せない」と弱音を吐いた。猛烈な取り立てが始まった。夫の勤め先にも電話が鳴った。初めて夫に実情を打ち明け夫婦で一緒に、多重債務者を支援する「福山つくしの会」に相談した。会は自己破産の手続きを手伝ってくれた。
彼女は今、同じような境遇で苦しむ人たちの力になろうと、「つくしの会」で体験談を語る。昨年3月の東日本大震災で、自分と同じような体験をする人がいるのではないかと、心配でならない…と。

※引用
2012年1月17日 読売新聞
「阪神大震災で多重債務の女性 「助けて」一言が言えない」

2012年01月19日
法律事務所ホームワン