企業法務コラム

≪注目メモ≫国税庁、被災地10県で路線価「調整率」を公表

国税庁は1日、東日本大震災の被災地10県で路線価の下落を反映させるため、「調整率」を定め、公表した。路線価は土地の相続税、贈与税額の算定のもとになる数字だが、相続税の場合は平成22年5月11日以降に相続した人、贈与税の場合は平成22年1月1日以降に贈与された人に適用される。
例えば調整値が0.7の場合、既に公表されている路線価の7割の金額を基準に相続税額、贈与税額が計算されることになる。調整値は、宮城、福島、岩手の3県内の被災地域にとどまらず、青森県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県の一部にも及んでいる。
なお、浦安市は液状化被害が出た明海、海楽、舞浜などについて調整値が0.60に設定された。不動産価格への影響も懸念されよう。
ただ、この調整値を鵜呑みにすることはできない。例えば石巻市あけぼのは、津波被害もなく、近隣からの住民流入で7月1日発表の基準地価が東北6県中唯一上がったところだが、0.75の調整値がついている。

(代表弁護士・山田冬樹)

参考
国税庁
「東日本大震災に係る「調整率表」<一般の土地等用>」

2011年11月15日
法律事務所ホームワン