企業法務コラム

政府税制調査会 「復興特別区制度」(仮称)の創設等

政府税制調査会は、10月4日の総会で、東日本大震災からの復興に向けた税制上の対応措置第2段について政府案をまとめた。内容としては、法人税では、「復興特別区域制度」の創設に伴い、雇用促進や設備投資などを支援する税制措置が決定された。雇用機会の確保に寄与する事業者として指定を受けた法人は、特別区域内の事業所で雇用した被災者の人件費の10%を法人税額から差し引けるほか、事業用設備や建物等について、平成28年3月31日までに取得した場合には特別償却や税額控除が認められる(法人税額全体の20%を限度とする。)。具体的には、研究開発用の減価償却資産を取得した場合には、即時償却の特例、住宅の確保に寄与するとされる法人が被災者向けの優良賃貸住宅を取得し、賃貸に供した場合には、特別償却等の特例が設けられる等である。
その他では事業承継税制(非上場株式に係る納税猶予制度)における認定会社の雇用確保要件(従業員数の80%維持)等が緩和されるほか、住宅ローン控除率の引上げ等が決定されている。具体的には、住宅の再取得に係るローン控除の特例では、控除率は1.0%から1.2%に、平成24・25年の借入限度額を1000万円引き上げるほか、震災で住宅が滅失し居住の用に供する事が出来なくなった被災者について、滅失した住宅に係るローン控除と再取得住宅にかかるローン控除の重複適用を可能にした。その他、広範な被災地で土地や建物にかかる固定資産税を軽減する事も盛り込んだ。
減税規模では、国税600億円、地方税400億円の約1,000億円と考えられている。地方税収の減少部分は国からの地方交付税で補填する。10月の臨時国会に関連法案を提出する予定。

※参考
内閣府 税制調査会資料

2011年10月19日
法律事務所ホームワン