企業法務コラム

天竜川転覆事故、運営会社の危機意識が問われる事態に

浜松市天竜区の天竜川で川下り船が転覆し5人が死亡した事故から24日で1週間。運営会社のトップからは危機意識が皆無だったことを示す言葉が相次ぎ、安全管理は契約社員の60歳を超えるベテラン船頭にまかせきりだったこともわかった。半世紀以上続く観光名所は、川下り船運営のあり方そのものが問われる事態となった。

「12歳未満に救命胴衣の着用義務があるという認識はなかった」。運営会社の天竜浜名湖鉄道の名倉健三社長(63)は事故発生直後の記者会見で、知識不足を認め陳謝した。

運航は熟練船頭任せ。舵取り役に就く船頭も、乗船前に船頭同士で決めていた。操舵の練習カリキュラムはリーダー役の船頭が取り仕切り、安全運航に関する明文規定はなかった。

(中略)

今回の事故について、経営責任をめぐる専門家の意見は分かれている。コンプライアンス(法令遵守)問題に詳しい郷原信郎弁護士は「危険度の低い川下りの観光船。船尾の舵取りを未熟な新人船頭に任せたことが問題であって、経営責任までは問えない」とみる。一方で海難事故に詳しい東海大海洋学部の山田吉彦教授は、「水に船を浮かべる以上は、経営側による安全マニュアルは必要。川下りは地域振興の側面が強く、安全への意識が無防備だったのでは」とあきれる。

※引用
2011年8月24日 msn産経ニュース
「運営会社トップ危機意識ゼロ 安全管理、契約社員の船頭任せ」

2011年09月05日
法律事務所ホームワン