企業法務コラム

≪注目メモ≫都暴力団排除条例、10月1日から施行

暴力団関係者に利益を供与した事業者を処罰対象とする暴力団排除条例が、東京都、沖縄県で10月1日施行される。これにより暴排条例が全都道府県で出そろったことになる。事業者にとっては、除例に違反すれば社名を公表されたり、刑事罰を受けるリスクがあるが、条例を盾に付き合いを断りやすくなるメリットもあり、積極的な活用が期待される。ただ、暴力団と裏でつながる「フロント企業」の判別は難しい。一番こうした情報を多く抱えているのは警察だが、こうした情報は問い合わせても教えてもらうことができないのが現実だ。
ただ、条例ができる前から、実業界では暴力団排除の動きが顕著だ。最近のビジネス契約で「反社条項」というものが流行っている。取引の相手方が、暴力団等の反社会的勢力ないしその関係者だと発覚した場合は、契約を無条件で解除できるとする条項である。
全国銀行協会は6月、取引先が暴力団関係者と判明した時点で契約を解除できる「暴排条項」を盛り込んだ各行向けの契約書モデルを改正。組を離脱したと偽って融資や当座預金の契約を結ぼうとする行為を排除するため、暴力団関係者に「暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者」を含める、と規定を厳しくした。
さらにコンプライアンス面でも、対策は急務だ。この点、法務省が「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(http://www.moj.go.jp/content/000061957.pdf)を作成しているので、参考にされたい。

(代表弁護士・山田冬樹)

※参考
日本経済新聞 2011年9月28日夕刊

2011年09月30日
法律事務所ホームワン