あるべきビジネスプランとは

夢と思いつきだけでは起業はできない

起業は夢だけで語れるような甘美なものではありません。十分な覚悟と、熱い情熱が必要です。ビジネスプランに起業者の情熱と覚悟が込められていなければ、それは気の抜けたビールと同じです。思いつきだけではだめで、思いつきをいかに実行可能なビジネスプランに組み上げて行くことが重要です。周到な準備と細心の計画があって、初めてそこに情熱と覚悟を読み取ることができるのです。

パートナーを探せ

会社を経営するには、法務、財務、労務、マーケティングといった知識を要求されますが、それを全部兼ね備える人などいるはずがありません。そうした知識は、先輩起業家、外部専門家をパートナーとすることで補えばいいのです。また自分が作ったビジネスプランは、得てして、甘い見通しや、消費者の関心からずれる等して、独りよがりなものになりがちです。ですから外部から、そうした欠点を指摘してくれる人が必要なのです。

サラリーマンという立場と、経営者という立場とでは、見える景色が全く違います。そこが経営の怖いところでもあり、醍醐味でもあるのです。社長は孤独です。不安があっても社員に見せず、自信を持って突き進んでいく必要があります。そうしたとき、既に起業している先輩と交流を持つことは、心の大きな支えになります。

A3用紙1枚にまとめる

ビジネスプランを書面に落とし込む場合、詳しく書けば良いというものではありません。ビジネスプランの読み手は金融機関であり、投資家であり、取引先でもあります。そうした人たちに、分厚いファイルを渡して、一晩かけて読んでくれと言っても読んではくれないでしょう。メリハリがあって、重要なポイントを掴み、しかも簡潔にまとまっている。そうしたビジネスプランでなければ、人は耳を傾けてはくれません。

米国には『エレベータ・ピッチ』という言葉があって、エレベータに乗っている間にビジネスを説明して、投資家を虜にするくらいのものでないといけないと言われます。A3版見開き一枚のサマリーを使って、3分以内に事業の骨格を説明できるような訓練が必要です。わかりやすいことも重要です。「大切なのは普通の言葉で非凡なことを言うこと」(ショーペンハウウェル)です。データも重要です。特に金融機関は数字でしか納得しません。その数字も、市場データを十分とりこんだ、確実性の高いものであることが必要です。

「全く新しい商品だから予測がつかない」というのは、検討をおろそかにしている言い訳にすぎません。既存の商品の市場規模、市場価格などといった、今あるデータを徹底的に分析すべきです。

顧客の視点で考えること

ビジネスプランは、顧客の視点で考えられていることが必要です。良い商品だから買ってくれるは通用しません。良い商品であることを消費者に理解してもらうには、多くのハードルが待ち構えています。消費者は、今まで使ってきたという安心感のほうが、冒険心より強いため、なかなか手に取って貰うこと自体大変です。そもそもその商品が、価格面、仕様面からみて、本当に消費者のニーズに合った「良い商品」なのかどうかも自問自答する必要があります。提供者の論理でなく顧客の視点で考え述べられていることが必要です。

携帯画面を隣の人から見られないような専用フィルムを売る会社がありました。性能は良いのに、全く売れません。思い余って、その社長はコンビニで携帯をいじっている女子高生に自社製品を見せて、買いたいと思うかを、聞いてみました。そうしたところ「そんな真っ黒なフィルムじゃ暗くて、買う気が起こらない。もっとデザインがついていたら良いのに。」と言われたそうです。それで、フィルムにデザインを施した商品を売り出したら大ヒットしたそうです。

最悪に備えること

経営環境は目まぐるしく変化しています。したがって、あらゆるリスクに対応して、常に成功することは難しくなっています。リスクの内容によっては、早期の事業転換、最悪撤退も考える必要があります。一般には顧客ニーズの読み違え、売り先の倒産、競争相手の参入、法律改正など、様々なリスクが考えられます。また業界独自のリスクもあります。同業者もやっていることだから、自分がやっても大丈夫、というのではリスク管理になりません。食品の虚偽表記問題が良い例でしょう。

事業計画書に備える

以下の点は事業計画書に落とし込む必要がありますので、十分に検討しておいてください。

  1. 創業を決意した動機は明確であるか
    (創業後の様々な苦難を乗り越えられる強い決意が見られるか)
  2. 提供する商品・サービスのセールスポイントは何か
    (どこに独創的な要素が含まれているのか。ターゲットの明確化ができているのか)
  3. 競合他社と比較し、品質・価格等に競争力があるか
    (ターゲット客から見て優位性が明確になっているか。)
  4. 創業しようとする事業について、知識、経験、ネットワークが活かされているか
  5. 提供する商品・サービスについて、ニーズはあるか
    (マクロ的な統計データのみではなく、想定している商圏における具体的なターゲットの絞り込みができているか)
  6. 販売先、仕入先のルートが確保される見込みがあるか
  7. 売上げ、経費に根拠があるか
    (売上げ、経費は単なる希望値ではなく、予測した値であるのか)
  8. 事業に必要な従業員、ビジネスパートナー等が確保される見込みがあるか
  9. 創業後の具体的な計画が書かれているか
  10. 創業に向けて、どのような準備をしてきたのか
    (創業塾の受講、個別相談会の活用、外部機関を活用したマーケット調査など)