起業支援

創業融資とは脱サラして会社を立ち上げようという人に

脱サラして会社を立ち上げようという人に

銀行の目線

既に事業を行っている人に貸すのであれば、過去の実績をもとに、融資すべきかどうか判断できます。しかし、これから新規に事業を行う人に貸すのであれば、これだけの売り上げが上がり、これだけの経費がかかるだろうという将来の見込みで融資判断をしなければなりません。ですから、銀行は新規融資で貸したがらないのです。

日本政策金融公庫(日本公庫)の創業融資とは

株式会社日本政策金融公庫は、株式会社ではありますが、国が株式の100%を常時保有する財務省所管の特殊会社です。そのため、国の政策に基づき、創業融資もしてくれます。しかし、日本公庫は「国のお金を預かる者として、貸し倒れは極力防がなければならない」との信念をもって融資審査を行いますから、融資を受けるには、きちんとした事業計画があり、その裏付けとなるものも必要です。

以前同じ事業を国民生活金融公庫が行っていましたが、日本公庫が設立され、同公庫が国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の事業を引き継いで行っています。

自治体の制度融資

自治体と信用保証協会と指定金融機関の三者協調の下、中小企業者が金融機関から融資を受けやすくし、やがて自分の実力と信用で金融機関から資金調達ができるようにするための制度です。信用保証協会の保証が必要になります。信用保証協会が、経営者の人物、資金使途、返済能力等を総合的に判断して保証の諾否や保証金額を決定します。

自治体は、融資に必要な資金の一部を「呼び水」として金融機関に預託し、中小企業者の信用保証を行い、金融機関は東京都の定める条件で中小企業者に融資します。信用保証協会も公的機関として、国の政策に基づき、創業融資をしてくれています。

日本公庫の創業融資の対象

次のいずれかに該当する必要があります。

  • 雇用の創出を伴う事業を始めること
  • 技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始めること
  • 現在勤務する企業と同じ業種の事業を始める者で、次のいずれかに該当すること
    • 現在の企業に継続して6年以上勤務していること
    • 現在の企業と同じ業種に通算して6年以上勤務していること
  • 大学等で習得した技能等密接に関連した職種に2年以上勤務しており、その職種と密接に関連した業種の事業を始めること

制度融資(東京都の場合)の対象企業

事業を営んでいない個人で、創業しようとする者で、次の要件に該当する者。

  • 1か月以内に新たに個人で又は2か月以内に新たに法人を設立して事業を開始しようとする具体的な計画があること。会社を作ってから申請した方が良いのでは
  • 許認可事業の場合は、原則として許認可等を受けていること
    • 都内に事業所(住居)があり、保証協会の保証対象となる業種を営んでいる(ただし、一定の業歴要件が必要となる場合があります)
    • 事業税又は法人税(個人については所得税)を納付している(ただし、申告をしていて、課税額がない場合は融資対象となります)
    • 許可、認可、登録、届出等が必要な業種にあっては、当該許認可等を受けている
  • 大学等で習得した技能等密接に関連した職種に2年以上勤務しており、その職種と密接に関連した業種の事業を始めること

それぞれの使い勝手を比較してみましょう

日本公庫の新創業融資 東京都制度融資
自己資金要件 創業資金の3分の1以上の自己資金を用意する必要 なし
但し、自己資金の用意があると借入減額が増える。
融資限度額 1500万円 自己資金なし 1000万円
自己資金あり 2500万円
(但し、自己資金に1000万円を加えた額の範囲内)
他のメリット 制度融資で銀行と取引でき、その支払いがきちんと行われれば、その後当該銀行との取引を拡大することも可能です。

自己資金(AからBを差し引いた金額)

  • A.創業しようとするものが事業に充てるために用意した資金
    • 残高の確認できる預貯金
    • 客観的に評価が可能な有価証券に保証協会の定める評価率を乗じたもの
    • 敷金・入居保証金
    • 資本金・出資金に充てる資金
    • 融資申込み前に導入した事業設備に要した金額(不動産を除く。)
    • その他の客観的に評価が可能な資産額(不動産を除く。)
  • B.借入金等
    • 残存返済期間が2年以上ある住宅ローンの年間返済予定額の2年分
    • 設備導入資金等の長期借入金の年間返済予定額の2年分
    • その他の借入金全額
参考:東京都産業労働局 中小企業支援

(1)自己資金要件

制度融資は、自己資金を用意しないで済む分、早く事業をスタートしたい人にとって有利は有利です。しかし、自己資金があるかないかで、事業の成否は大きな影響を受けます。業態にもよりますが、多くの業態では売上が当初予定に達するまでにある程度の時間を要します。例えば次の二つの企業の毎月の収支予測を比べてみてください。

  • A社 売上100万円/仕入れ10万円+販売管理費60万円
  • B社 売上100万円/仕入れ60万円+販売管理費10万円

このうち、売り上げ減による破綻リスクが大きいのはA社の方です。B社は売り上げが目標に達しなくても、その分仕入れも少なくて済みますので、悪影響は比較的軽微です。ところが、A社は売上が減っても、販売管理費(家賃、人件費、リース代、光熱費等)のウェイトが大きいので、赤字になりやすいのです。ですからA社の場合は、売り上げが確実に上がる見込みがあるか、余程多くの自己資金を抱えていないと事業が不首尾に終わる可能性が高いのです。

制度融資は自己資金を要件としていませんが、自己資金は必ず用意してください。理由は二つあります。 まず、売上予想は下ぶれの可能性が必ずあるからです。そして売り上げが不振となれば、何か手を打つ必要があり、それが広告だったり、設備投資だったり、人員増であったり、必ずお金がかかるからです。自己資金なしに起業するなど、救命具をつけずに海に乗り出すようなものです。

次に、自己資金は大きな実績になるからです。銀行は過去の実績を重視して融資します。毎年着実に売り上げを伸ばし、利益を上げ、一度も支払いに遅れがない、こういった実績が銀行に「この会社に貸したい」という気を起こさせるのです。毎月の給与、夏冬の賞与から少しずつ積み立てをし、自己資金を作ったという事実があれば、それが大きな実績になります。

(2)就業経験

どちらの制度も、起業業種の就業経験は要求されていません。しかし、こうした経験があれば、融資には確実にプラスに働きます。

例えば、飲食店を成功させるには、固定経費を押さえ、商品の付加価値を高め、客の回転率・客単価を上げる必要があます。商売としてやる以上、料理が得意というだけでは足りず、仕入れ先との価格交渉、食材管理、メニュー戦略、価格戦略、人事管理等の経験があるかないかが事業の成否に大きく影響します。

(3)融資限度額

自己資金がない場合は、日本公庫は使えないため、自己資金がある場合を比べてみます。手持ち資金が500万円という場合、日本公庫から借りられるのは1000万円ですが、制度融資の場合1500万円が借りられます。この点、制度融資の方が有利です。

但し、創業当初は、少ない経費で起業した方が安全です。「小さく産んで大きく育てよ」です。例えば、本格開業する3ヶ月前に、何分の1程度の規模の規模で仕事を始めます。その3ヶ月の間に、業務フローを固め、広告のパフォーマンスも見極め、自社HPのコンテンツ作成・ブラッシュアップも進めます。一度大きく始めてしまうと、軌道修正は大変です。小規模であれば、軌道修正も低コストでできます。

ただ、創業融資は必要最小限度ではなく、できれば大きく借りた方がいいと言う人がいます。開業前だったら「黒字になる見込み」ということで借りられますが、いざ開業してしまうとその後に融資を受けるには「黒字であること」が求められるからというのです。

創業後、しばらく赤字なのは仕方がないことです。金融検査マニュアルも「創業赤字で当初事業計画と大幅な乖離がない債務者は、正常先と判断して差し支えないものとする」。正常先とする、としています。すなわち、不良先とは考えないということです。具体的には次の要件を満たす必要があります。

  • 当初の事業計画が合理的でかつ実現可能なものであること
  • 黒字化する期間が原則として概ね5年以内のものであること
  • 売上高等と当期利益が当初の事業計画に比較して概ね7割以上確保されていること

注意していただきたいのは、設備投資で借りたものを運転資金に回したり、運転資金で借りたものを設備投資に回してはいけないと言うことです。これは金融機関との約束違反になりますので、最悪の場合、貸した金を全部返せと言われかねません。

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(4)返済期間・据置期間

返済期間

日本公庫

  • 運転資金5年以内(特に必要な場合は7年以内)
  • 設備資金10年以内

制度融資

  • 運転資金7年以内
  • 設備資金10年以内

据置期間

日本公庫

  • 6か月以内

制度融資

  • 1年以内

据置期間とは、元本は払わず、利息だけ払えば済む期間です。

(5)銀行との付き合い

制度融資の場合、銀行と直接取引ができます。今後も運転資金、設備投資資金が不足したときに備えて、銀行とは良い関係を築きたいところです。制度融資は、その後のお付き合いのいいきっかけになるのです。

ですから、制度融資を利用した場合、銀行に対する支払いは絶対に遅れないようにしてください。一度でも遅れれば、大きな失点になります。

(6)創業計画書を作る

日本公庫の創業融資も、都の制度融資も、創業計画書の作成が必須になります。日本公庫、保証協会それぞれが、創業計画書のひな形を作っています。

日本公庫の場合

  • 創業の動機:業種、事業開始月 目的及び動機
  • 事業の経験等
    • 過去に自分で事業を経営したことはあるか
    • 当該事業に関する履歴 同業種の会社への勤務歴等
    • 必要な資格の取得
    • 他に借入があればその内容
      借入先・残高・目的・年間返済額
  • 取扱商品・サービス
    • 具体的な商品・サービス ※複数あればその割合
    • セールスポイント
  • 取引先・取引条件等
    • 販売/仕入/外注先名・掛/現金払割合・回収/支払条件
    • 常勤役員・従業員・パート等の人数
    • 人件費の締め日、支払日
  • 必要な資金・調達手段
    • 運転資金、設備投資にいくら必要で、それを借入金・自己資金でいかにまかなうか その計算根拠
  • 事業の見通し(月単位)
    • 売上高・原価・経費(人件費・賃料・支払利息・その他)・利益 創業時のそれと、軌道に乗った時のそれ(いつ軌道に乗るか)

東京都制度融資の場合

個人/法人・屋号・住所・開業予定日・電話番号・業種・事業開始届の有無・予定資本金・従業員・他事業兼務の有無

  • 事業内容
    • 主製品・サービス
    • 創業の目的・動機・創業する事業の経験・強み/セールスポイント・その他(特許ないしノウハウ、事業協力者の存在等、FCであればその旨)
  • 事業の着手状況
    • 設備機械器具等の発注
    • 土地・店舗買収のための頭金等支払い
    • 土地・店舗賃借のための権利金・敷金等支払い
    • 商品・原材料の仕入れ
    • 事業に必要な許認可等の取得/申請受理
    • その他
  • 販売先・仕入先・外注先
    • 業者名・住所・月予定額・回収/支払条件(現金・掛・手形)
  • 創業時の投資計画とその調達方法や内容
    • 設備投資(不動産取得・敷金・機械器具/什器備品)
    • 運転資金(仕入・賃金・その他)
    • 自己資金(預金・その他)
    • 借入期間(金融機関・その他)
  • 収支計画
    • 1年目の売上高・原価・販売管理費(人件費・家賃・光熱・減価償却・支払利息・その他)
    • 2年目、3年目の売上高・営業利益・減価償却
  • 自己資金の内訳
    • 資産:普通預金・定期預金・有価証券・預入敷金・資本金に充てる資金・当該事業用設備・その他資産
    • 負債:住宅ローン・設備導入のための長期借入金・その他借入金 2年間での支払額

資金繰り表を作る

日本公庫も信用保証協会も、資金繰り表を添付資料とはしていませんが、創業後の予測に基づいた月次の資金繰り表を提出することで創業融資を得られる可能性は増します。そして、それは新しくできた会社の目標にもなります。

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